金を掛けずに不動産の法人化(動画)

1.<無償返還届出方式に拠る土地の法人化の致命的な弱点>
 不動産(土地・建物)を個人所有から法人所有にする場合、現状は土地は高額なため建物のみを買い受け、税務署に無償返還届出書を提出し、借地権の存在を否認することで権利金支払免除を受ける無償返還方式が多く利用されています。建物所有者となることで
家賃の全部を受け取れると共に、支払地代は贈与と見なされない程度の安い地代支払いでも容認されます。
 この手法の大きな欠陥は借地権を自ら否認する反射的効果として、土地の買取額(更地への復帰額)が更地相当価額と高額になり、後世に渡り相続税負担からの回避が出来なくなることです。
2.<定期借地権の設定に拠る土地の法人化>
 無償返還届出書方式が自負する建物賃料の授受・権利金が不要・安い地代の容認と云うメリットの総てを定期借地権設定方式に拠る土地利用権は有します。
そればかりでなく、建物売却により前建物所有者が家賃の総てを失うことがない措置(賃貸人の地位の留保)を講ずることも出来ます。
3.<無償返還届出方式と定期借地権設定方式との決定的な違い

⇒ 定期借地権を設定すれば地の買取りは更地価格でなく底地価格での買取額となるため、価格が半額程度ですみます。更に、底地の買取や時間を掛ければ借地権と底地の交換等により殆ど金を掛けずに土地の所有権を変更できます。更に一定期間経過後に建物の買取りを行うことで借地権を消滅させ土地・建物の所有権が得られます。
4.<無償返還届出方式に係る土地利用権の契約解除について
当初契約で解除に基づく経済的負担に係る項目がなければ一切の経済的負担や課税負担はありません。無償返還届出方式から定期借地権方式に何時でも乗り換えが可能です。
⇒ 定期借地権方式の運用は税法の知識だけでなく、民法や不動産鑑定評価に係る知識と経験を求められるため専門的に研究を重ねてきた実績が無くては適切な運用はできません。
次頁では賃貸人の地位の留保(民法605-2)と、土地利用権に定期借地権を設定するメリットにつき説明します。

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