金を掛けずに土地(不動産)の法人化

3.<無償返還届出方式のメリットをほぼ全部有します>
借地権設定に伴い権利金支払いの監修がある地域に於いて、借地権の設定を行う場合は権利金の支払いが求められます。 支払わない場合は更地価格の6%と云う高い地代〈適正地代〉の支払いが求められます。
無償返還届出方式は借地人が借地権価値の主張を行わない約束の下で、権利金支払いが免責されます。 これに対し、定期借地権はそもそも設定に際し権利金支払いの慣習がないため、権利金の支払いは発生しません。 地代についても適正地代(土地価格の6%)の概念がないので当事者間で公租公課の2倍 ~3倍程度に決めても、それを否認する税法上の決まりがありません。 但し、無償返還届出方式同様、公租公課(固定資産税・都市計画税等)程度の地代では使用貸借と見なされます。
4.<定期借地権の活用>
ア.最小の費用で土地の法人化を図るには無償返還届出方式より、定期借地権方式がはるかに優れます。 将来(30年)の建物買取りを条件とする契約とすれば、建物買取りに拠り借地権を消滅させることができます。
契約解除は無償返還方式の場合は何時でも可能ですが、定期借地権は借地借家法によって契約期間が定められているため、契約時に特約で解約に係る条件を付記する必要があります。 尚、地主側からは契約解除の申し出は出来ません。
5.<定期借地権の設定に拠る土地の法人化>
ア. 無償返還届出方式が自負する建物のみの購入で賃料の全部が建物譲受人(現在所有者)の物となることの外、店舗や共同住宅等の収益不動産の場合は建物の譲渡しにより旧建物所有者が家賃の総てを失うことがない措置(賃貸人の地位の留保(民法605条の2第2項))が図れます。その場合、このことを定期借地権設定契約時に特約事項とする必要があります。これにより旧建物所有者(賃貸人)は建物の所有権を失っても従来通り賃料の一定額を得られます。手順は借地権と底地の交換に拠り同族法人は土地(底地)を取得します。二つの価格差が20%以内なら、課税の繰り延べが適用できます。20%以上なら交換差金の支払いが必要です。差金を授受した方は所得税等を払います。土地と建物の双方を取得し完全所有権とするためには当初定期借地権契約で、建物買取取り条件の特約をし、契約後30年経過すれば特約に基づき建物を買い取れます。これに拠り借地権は消滅します。その間(30年間)、借地人からの申請に拠る合理的理由に基づく契約解除の申し出があれば建物を買取り借地権を消滅させられます。具体的には、① 当初、土地・建物が個人所有の下で同族法人が建物だけを購入し(簿価で可)、土地利用権を無償返還方式でなく、定期借地権契約とします。(建物所有者は同族法人)
② 一定期間後に底地と借地権を交換します(建物所有者は再び個人)。
③ 同族法人は個人から建物の全部又は一部を賃借し(民法605条の2第2項「賃貸人の地位の留保)、それを従来からの賃借人に転貸します。その際、世間相場より明らかに安い賃料設定をした場合でも、売買の場合は低廉譲渡と見なされ重い課税がされますが、賃貸の場合はそのような規定はありません。但し、公租公課程度の賃料ならば使用貸借と見なされ借地権の価値を否認されます。又、同族法人が安い賃料を支払っている場合は賃料を損金算入できません。相続発生時に個人が底地所有者であれば相続税は底地に課税されます。現在の国税の相続税評価は借地権価値は安く評価されますが、底地は更地の80%程度の評価をされる場合もあるので、交換するなら相続発生前に行うことです。その際、不動産鑑定評価基準に基づく評価が行えますが、土地の交換に際しては「土地評価の如何が最も重要な要素」となります
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