等価交換は現金不要の定期借地権と底地の物々交換
ⅰ.最小の費用で土地の法人化(多額の資金は不要)
個人地主が100億円の土地を所有し、建物は自分の会社(同族会社)の名義にして事業を行っている状況で、相続が発生すれば多額の相続税を支払うため土地を売却して資金を調達する必要があります。土地はあっても纏まった現金がないからです。
これを回避するには生前に土地の所有権を同族法人に移転しておけばよいのです。個人で高額な土地を所有していなければ、土地に対し相続税は課税されません。

ⅱ.無償返還届出方式と定期借地権方式
<無償返還方式>
現在、建物のための土地利用権(借地権)設定の多くは無償返還方式が使われています。
無償返還届出書を税務署の提出すれば高額な権利金支払いが免責され、地代も
固定資産税の2倍~3倍程度でよいからです。相続税の路線価で借地権割合が70%の地域に個人で100億円の土地を所有していれば権利金は70億円となります。誰だって権利金の支払いが免責される無償返還届出書を税務署に提出するはずです。もし、権利金を支払わないのであれば年6%を目安とする地代を払う必要があります。月額5000万円(年間6億円)と云う信じられない高額な地代です。
ここで、当社が勧めているのは無償返還方式による借地権設定契約を解約して定期借地権方式に変更しなさいと云うことです。
無償返還方式における借地権は権利金の支払いを免責される代わりに借地権価値はゼロとされ、
将来無償で借地権を返還する条件となっています。借地権価値ゼロなら底地価格と更地価格は同じになり、底地を更地価格で買い取らなくては土地の法人化ができないことになります。又、相続税評価では土地の上に賃貸建物が建っているので貸宅地と見なされ底地は更地価格の80%で評価されるため、100億円の土地は80億円が相続税の課税標準額となります。
仮に相続人が妻と子供1名なら相続税額は42億3290万円と高額で、土地を売却して相続税を払うしか支払いの方法は見当たりません。子供に土地を残すことはできません。
<定期借地権方式>
定期借地権は期限付き借地権と見なされ単独で売買や交換ができ、設定に際し権利金の支払いが慣習化されておらず、権利金や保証金の支払いが法的に義務化されていません。地代についても同様で使用貸借とされない地代であればよいはずですが、借地権に経済価値が付与されていることや、権利金の支払い義務がないことを考慮すれば、住宅用系で土地価格(公示価格)の2%~3%程度。事業用で4%~5%程度の支払いが世間相場で、これに準ずることが無難と思われます。
ⅱ。ここで定期借地権を設定すれば土地は底地と定期借地権に分かれ、定期借地権と底地の交換が可能となります。その際、価値が高い方の価格に対し20%以内に双方が共に収まれば等価交換と見なされ、交換時の課税が非課税となり、当事者間で合意があれば交換差金の支払いも不要となります。底地と定期借地権を物々交換するため現金が介在せず、資金がなくても高額な個人所有の土地を法人所有に移転できます
ここで、土地の時価について説明します。
相続税路線価に基づく借地権や底地の価格は相続税額の査定のための価格です。通常の取引を対象とはしていません。最高裁判例は土地の時価につき、「市場における客観的な交換価値」即ち、良識ある市場人が妥当とする時価をもって時価と判示しています。
最高裁の時価を具現化したのが国土交通省の「不動産鑑定評価基準」に基づく時価です。不動産鑑定士が行う鑑定評価で当該評価基準を適用して価格を求めます。このことは不動産鑑定評価基準に基づき適正な評価を行えば(最高裁判例に合致する)、税務署はこれを否認できなと云うことです。
ⅲ.等価交換のリスク

等価交換が成立するには高い価格との価格格差が20%以内に納まることだけでなく、幾つかの条件を満たす必要があります。等価交換を税務署が否認し、不等価交換とされた場合、通常の売買となり高額な課税を双方に課せられる可能性が高くなります。
これのリスクを回避するには民法127条1項の停止条件付き契約とします。等価交換が成立しなかった場合は本件契約を無効とする旨の契約書を作成する必要があります。その際、定期借地権と底地の等価交換の評価においで停止条件とすべき要件を検討する必要があります。又、土地の法人化達成に50年掛かるようでは意味がありません。期間内契約解除が合法的に行える契約書でなければなりません。そのためには憲法13条の営業の自由等を根拠にする必要がありますが、これらは総て契約に於ける「特記事項」として明記しておく必要があります。
等価交換成立の原点は底地や定期借地権の評価です。単純な更地評価と違い、定期借地権や底地の評価は複雑で労力を要します。等価交換が成立するための要件を正しく理解した上で評価作業を行わないと、等価(格差20%以内)になる確率は極めて低くなります。
ここで少しだけ本音を漏らします。
無償変換方式での借地権と底地との等価交換が成立する可能性はゼロです。普通借地権は土地利用の継続性が極めて高く、底地と等価交換できる可能性は極めて低く鑑定評価を行っても殆ど意味をなしません。これに対し、定期借地権は期限付き借地権で契約期間終了に近づけばその価値はゼロに近づき、底地は更地価格に近づきます。この価格の変動を正確に捉えれば価格格差が20%内に収まる時期が分かります。それが何時かは契約書作成前に事前に評価を行い、内容を分析してみないと分かりません。単に適当な数値を並べた契約書では等価交換が成立することは殆どありません。
ⅳ.等価交換の成果
定期借地権と底地との全部交換によって底地所有者(被相続人)は
定期借地権者に変わり、この状態で相続が発生すれば相続税は被相続人が有する定期借地権に対して課税されます。借地権の価値は適正な地代と実際支払地代との差額(借り得分)の総額が主な要素となるため、概ね適正な地代が支払われていれば借り得分が殆ど発生せず、課税額は最小額に押さえられます。
ⅱ.借地人の事情に基づく契約解除
借地人の事情による契約解除の場合、借地人は明け渡し費用等の請求はできません。又、解除に係る事項は総て特約事項として契約書に記載しておかなければ有効性は担保されません。
⇒ 等価交換に対する詳細は最小の費用(資金)で土地の法人化リンク