1.底地の買取り(更地の半額程度)で土地の法人化が可能となる

時価2億円の建物と時価8億円の土地を個人(被相続人)が所有し、子供が経営する同族法人が建物のみを購入し、建物のための土地利用権は定期借地権を設定した場合、土地は底地と定期借地権に分離します。底地も定期借地権も分類は土地に属し共に経済価値を有するので底地と定期借地権との交換が可能です。この時点で底地価額は4億円、定期借地権価額は4億円と仮定し、同族法人が土地(底地)を4億円で買い取った場合、土地は混同により更地となります。
然し、同族会社が他者と同様に無償返還届出に基づく土地利用権(借地権)を設定していれば、無償返還の借地権は経済価値を有さないため土地の法人化を試みるには8億円で底地を買い取らなければなりません。無償返還届出によって借地権を設定した目的は権利金の支払いを回避するためでしたが、定期借地権には権利金支払いの慣習が無く、無償返還方式同様に権利金や保証金の支払いを法的には回避できます。但し、地代不払いや建物解体費の担保として保証金を差し入れるケ-スが多く見られます。

2.等価交換が容認されれば高額な土地の売買が非課税となる

(1)<底地と定期借地権との交換>
定期借地権を設定すれば底地と定期借地権に土地が分離し、同族法人である定期借地権者は底地を買い取れば土地(底地)所有者となれます。土地の法人化が実現すれば被相続人(個人)は定期借地権者となり、相続税は定期借地権に対し課税されることで相続税は土地の半額以下の課税標準額を基礎とした安い課税額となります。
更に、交換により定期借地権と底地との価格が高い方の20%以内ならば等価交換と見なされ課税の繰延べが可能となります。
(2)<非課税と課税の繰延べ>
等価交換が認定され、課税の
繰延べが可能となれば交換時に於ける所得税や住民
税の譲渡益課税が非課税(課税の繰延べ)となり且つ、交換差金の清算も必要ありません。課税の繰延べの認定により、土地の売買がなかったものとされ非課税となります。そして、将来当該土地を売却する際に当該地を取得したときの価額をそのまま取得価額とします。交換時の税額の支払額を(非課税とならない場合の税額)を引き延ばせることではなく、土地の取得価額を次の売却時まで引き継ぐことです。等価交換は金額の多寡でなく交換物の価格割合が重視されるため、高額な土地の取得には最も優れた手法です。
(3)<定期借地権の消滅> 
土地(底地)所有者となった同族法人が土地を完全所有権とするには定期借地権を取得する必要がありますが、その方法は定期借地権の買取りか、契約の解除による定期借地権の返還の何れかが考えられます。借地人の事情で解約する場合は借地人は明け渡し費用等の請求はできません。金銭の授受がなく、明け渡しについて当事者が合意すれば税務署も裁判所も介入しません。


3.等価交換や節税対策で留意すべきこと

<その1>:
底地と定期借地権付き建物とを交換してはいけません。底地と定期借地権とを交換し、建物は単独で売買すること。これを無視すれば建物価格を交換差金と見なされてしまいます。又、ここでの建物は共同住宅、店舗、事務所・倉庫等の収益物件でなければ経済面からは等価交換の対象とはなり得ません。
<その2>:
等価交換が容認されても土地や建物に抵当権が設定されていればこれを抹消しなければ抵当権を実行される可能性があります。同族法人の場合は債務者;田中一郎とあるのを、債務者:株式会社田中、連帯債務者:田中一郎とすれば銀行も担保保全ができます。このように等価交換による土地の法人化は法人が同族会社でなければ事実上不可能です。又、税務当局から見れば不動産の評価も同族会社との取り引きでは「課税上弊害あり」の対象となるため、第三者である不動産鑑定士の評価に基づく評価資料を税務署に提出すべきです。
<その3>:
不動産鑑定士は不動産の時価を国交省の「不動産鑑定評価基準」に基づき評価するため個別具体的に価格を検討できます。相続税対策であろうが通常の節税対策であろうが生前対策が重要で、加えて等価交換以外にも案件に対応した最良の対策を選択すべきです。又、不等価交換となった場合の対策も必要です。最小の費用で土地の法人化を図るにはあらゆる場合に対応できる複合的な専門知識が求められます。

詳細は最小の費用(資金)で土地の法人化リンク