最小の費用で”土地の法人化”を行うには! 
(1)<無償返還方式と定期借地方式との比較>
| 項 目 |
無償返還届出方式 |
定期借地権方式 |
| 権利金に対する対応 |
不要(双方で税務署に届ける) |
不要(支払の慣習がない) |
| 地代に対する対応 |
使用貸借と見なせない額(公租公課の2倍~3倍程度) |
法的規定はない(住宅用2%~3%:事業用4%~5%が相場) |
| 土地の買取りについて |
借地権価値がゼロのため、土地を自用地価額で買取る必要があり、土地の買取りは困難 |
底地の買取りでよく、個人地主は時価の1/2までの売却額ならば低廉譲渡とならない。但し、本件では買取りでなく交換を前提とする |
| 土地の交換について |
借地権価値がゼロのため、土地の交換はできない |
底地と定期借地権との価額格差が20%以内なら等価交換と見なされ、交換差金の支払不要、交換時は非課税 |
| 借地権設定契約 |
建物のみを買い取り法人所有する |
収益建物を買い取り、その後に土地の買取や交換を検討する |
| 交換後の対応 |
交換が不可のため、土地の買取りは考慮外 |
契約の期間内の解約又は、設定後30年経過後の定期借地権の買取り |
| 土地の法人化の可能性 |
土地の買取りや交換ができないため法人化の可能性は極めて困難 |
土地価額に関係なく定期借地権と底地の交換が可能で、同族法人が底地所有者になれる。更に契約解約等により借地権の消滅が図れる |
ⅰ.<無償返還方式が有するメリット>
現在、相続税や所得税の過度の課税負担に対応するために同族法人を設立し、個人(被相続人) が所有する不動産(建物のみ)を先に設立した法人が買取り、土地利用権(借地権)は無償返還届出方式を適用する場合が殆どです。無償返還方式のメリットは上記一覧表の如く下記 ①~③の利点を有します。
① 設定に際し権利金支払いが免除され、地代も公租公課の2倍~3倍程度でもよい。
② 所得税より法人税の方が税率が低く且つ、給与等を含め経費計上できる項目が多い。
③ 共同住宅等の建物賃料の全部を個人(被相続人)から法人口座に移し替えられる。
ⅱ.<借地権の価値がゼロでは土地の法人化は困難>
土地の法人化の観点からは無償返還届出方式には大きな問題点が残ります。借地権の場合、高額な権利金の支払が免責されるメリットはありますが、当該方式は借地権の無償返還を前提とするため借地権価値がゼロであることの弊害の方がより大きいのです。
これに対し定期借地権は期限付借地権である故に、市場価値を有し売買や交換が可能で有りり且つ、権利金支払の慣習もありません。土地の法人化の達成のためには売買や交換は不可欠な作業です。
(2)<交換による土地の法人化>
ⅰ.<買取りでなく交換>
高額な土地の法人化ができなければ土地に係る相続税からの回避は永遠にできません。そのためには無償返還方式から経済価値を有する定期借地権に変更すべきです。
定期借地権が市場価値を有し借地権や底地を単独で売買や交換ができます。又、定期借地権方式に変更しても権利金の支払いは不要だし、地代も法的な規制はありません。但し、底地と定期借地権の等価交換に際し、地代の額は底地や定期借地権の価値を左右するため、慎重に検討すべきです。
ⅱ.<土地の法人化は定期借地権でなければ目的は果たせません>
土地の法人化とは同族法人が土地の所有者となることですが、被相続人が相続発生時に高額な土地(底地)の所有者でなければ不動産ばかりでなく、自社株の価値にも影響を及ぼすので相続税対策には極めて有効です。それ故に、土地の法人化は相続発生前に既に行われている必要があります。
ⅲ.<底地権者と借地権者が入れ替われば>
a.定期借地権設定当時での土地〔底地)所有者は被相続人です。
b.底地と定期借地権の全部交換により被相続人は底地権者から定期借地権者に変わります。
c.相続税は被相続人が所有する定期借地権に課税されます。
d.国税庁の査定額は定期借地権は更地価格の概ね20%(底地は概ね80%)。
交換により被相続人が定期借地権者となれば相続税の課税額は大きく減額されます。又、相続がいつ発生するか分かりません。資産を共に1年以上保有していれば交換できます。早めに定期借地権方式に変更してください。
土地(底地)の所有者を個人から法人に移すメリットは下記の通りです。
① 不動産に係る相続税から解放されること。
② 交換が等価交換と見なされれば、交換差金(底地と定期借地権の差額)の支払いが不要となること。
③ 交換時に支払うべき税額(所得税や住民税)が非課税となること。(将来の売却時まで当初の取得価額が繰り延べられる(所得税法50条:法人税法58条)。
④ 双方の価額格差(20%が等価交換の基準)が重視されるため、価額が高い土地ほど交換のメリットを享受できること。
(3)<不等価交換と定期借地権の消滅>
ⅰ.<最小の費用で最大の効果をあげるやり方>
土地利用権を定期借地権に変更すれば総ての物件が等価交換(価格格差20%以内)できるわけではありません。不等価交換となれば単なる売買として当事者双方が課税され、交換差金を受け取った者はそれに対しても課税されます。
交換において等価交換とならない場合でも、状況に応じた最良の対策は採れます。又、時間を掛ければ等価交換が可能となる場合もあります。
当社は定期借地権設定契約以前に等価交換が可能か否かは判断できます。
等価交換とならない場合でも、最小の費用で最大の効果を上げるやり方を提示できます。
ⅱ.<定期借地権を消滅させるには>
次に、同族法人が底地所有者から土地の完全所有者となるためには、定期借地権を消滅させて底地と定期借地権の混合により土地を更地や自用地とする必要があります。それには費用負担の過大な買い取りは避け、契約期間内における契約の解約や設定後30年以降の建物買取り(建物譲渡特約付き)によって実現を試みます。
詳細は次頁での「2.借地契約の解約」を参照してください。
(4)<当社がお手伝いします>
ⅰ.<当社は不動産鑑定評価・コンサルタントを行ってきました>
土地の法人化には強い関心をもって研究してきました。定期借地権は期限付き借地権ですが、通常の借地権同様に売買や交換が可能です。これに対し、無償返還方式での借地権は価値がゼロのため市場に於いて交換も売買もできません。
ⅱ.<底地と定期借地権に係る専門的知識が不可欠>
無償返還方式は税務署に当事者連名で届け出るだけですみますが、定期借地権の合法的運用は税法だけでなく、民法や借地権や底地の評価に係る専門的識が不可欠となり、特に等価交換の場合は土地(定期借地権・底地)の評価が最も重要です。その際、契約書での支払地代額・契約期間・金利・採用する利回り等の数値により評価額が異なるため、採用すべき数値如何が等価交換の是非に直結します。
当社は”鑑定評価基準に基づき不動産の評価を行いますが、合理的範囲内で依頼者ニ-ズに対応するように心がけています。等価(価格格差20%以内)での交換が可能となるためには”当初契約書の作成”が最も重要です。これに鑑み、契約書の作成は当社が行います(契約書における地代や契約期間等の数値は、事前に定期借地権や底地の評価を行って検証してみないと交換格差が把握できない)。又、作成した契約書に於いて必要とあれば、弁護士や税理士にも相談致します。
<ご相談ください!>
℡ 042-667-0509 メ-ル 012kantei@gmail.com
不動産鑑定士 酒匂 悦郎(サコウ エツロウ)
*次頁以降で更に詳細な説明を行います。