不動産の法人化で安心老後(動画)


<収益不動産の市場時価が3億円で相続税評価額が1億8,000万円。60%程度と査定される事案につき、同族法人への売却により発生する経済的負担を考慮しても収益不動産の場合、個人所有より法人所有の利点が大きいことを提示します

Ⅰ.相続税額と売買に伴う課税額との比較
1. 収益物件における相続税課税標準額の査定
土地の市場時価・・・2億円  建物の時価・・・1億円
土地・建物一体の相続税課税標準額は約1億8,000万円で、基礎控除額を考慮しなければ課税額は約5,500万円
2.不動産鑑定士の売買評価額
積算価格と収益価格の採用割合を1:2とすれば評価額は1億9,200万円
Ⅱ.個人から法人への売却額の検討
<第1段階の考察>

不動産鑑定士の評価19,200万円で時価を特定する
次に、個人から法人へは時価の2分の1以上なら低廉譲渡と見なされず、9,700万円を売却額とする。
<買主法人の課税額>
時価との差額9,500万円が受贈益で税率32%なら3,040万円①。
<売主個人の課税額>
不動産の取得額が不明額なら売却額の95%が課税対象。長期保有なら税率約20%で1,840万円②
尚、買主負担の課税額約1,840万円②は法人から借入れる。
<第2段階の考察>
売主(被相続人)は9,700万円の受取債権を有しますが、この中から相続発生時までに消費すべき生活費等の5,000万円③及び、借入金1,840万円②を控除した残金2,860万円④⇒(9,700万円 – (5,000 +1,840)万円)を買主法人に贈与する。
*これにより売主は不動産売却に基づく債権額は借入金と贈与額で相殺されるため相続税はゼロ. 
尚、法人の受贈益2,860万円に係る法人税は税率32%で915万円⑤。

<第3段階の考察>
買主の課税合計は約3,960万円( ①+⑤)で、売主への債務は5,000万円(97,000-(1,840+2,860)となり、相続発生により未払債務(売主からは受取債権)は被相続人の相続財産に加算される。
Ⅲ.帰結
1.法人化の目的 
 被相続人が会社経営に参画する等して、安定的生活費確保が目的。⇒有する5,000万円の債権は生活費等で消費するため相続財産を形成せず相続税はゼロ且つ、銀行借入も不動産仲介料も不要
2.買主(法人)の負担
(1)課税額合計3,960万円に係る返済
銀行から借入れ金利2.5%・20年払契約なら、月額21万円の家賃収入からの返済

(2)不動産購入代金5,000万円に係る返済には相続人の地位の変更の効果が働く。
①会社の損金との相殺可能

②代表者個人の会社からの借入金との相殺可能
次ペ-ジは参考として計算過程根拠を提示            今月の推奨頁へのリンク

Ⅰ.相続税額と売買額との比較
1. 相続税課税額共同住宅等の収益物件)の相続税額の査定額
土地の市場時価 ・・・2億円  建物の時価 ・・・1億円
<土地>
<相続税課税標準額>
土地の路線価は公示価格(市場時価)の80%、
共同住宅の相続税額での減価率は住宅地域は
▲30%(借家権減額)×60%(住宅地域の平均的な路線価)=▲0.18 
従って、2億円 × 80% ×(1 – 18%)= 1億3,200万円

<建物>
固定資産税額は市場時価1億円の70%程度。
共同住宅の相続税額での減価率は借家権割合を考慮して▲30%。
従って、1億円 ×70% ×(1-0.3)= 4,900万円
<土地・建物一体>
土地・建物一体の相続税課税標準額 (①+②)は約1億8
,000万円
尚、相続税課税額は基礎控除額を考慮しなければ、下記が相続税額となります。
(1億8,000万円 × 40%) – 1,700万円 =5,500万円となります。
2.市場における売買価格<不動産鑑定士の評価>

(1)積算価格
<土地> 2億円 × (( – 0.2(下限適正額補正)) =1億6,000万円 ①
<建物>  1億円 × (( – 0.2(下限適正額補正)) = 8,000万円 ②
<土地・建物一体の積算価格>  ① + ② = 2億4,000万円
(2)収益価格
共同住宅等の収益価格は土地・建物が一体で獲得する収益価格として求めます。
積算価格における中庸的市場時価は土地・建物合計で3億円ですが、賃貸物件は借家権減価は通常、認められるので▲30%程度減額されます。又、土地・
建物一体の時価についても適切な価格帯の下限近く▲20%を考慮し、3億円 ×(1 – 0.2)= 2億4千万円(修正積算価格)。従って、収益価格として下記を提示する。
(2.4億円 × 70% (借家権減価考慮)) × 80%(価格帯の下限) =1億6,8
00万円
(3)鑑定評価額
共同住宅は貸家及びその敷地の類型で収益価格
を標準とし、積算価格及び比準価格を比較考慮して求めます。尚、比準価格は規範性ある取引事例が存在しないため非採用としました。本件では各試算価格の採用割合を、積算価格 : 収益価格 = 1 : 2とします。従って、鑑定評価額として下記1億9,200万円を提示します。
((2億4,000万円 ×1) + (1億6,800万円 × 2)
) ÷ (1 + 2) = 1億9,2
00万円
Ⅱ.個人から法人への売却額の検討
<1段階の考察>
貸家及びその敷地の類型では不動産鑑定評価は通常、相続税の課税標準額以下にはなりませんが、不動産鑑定士の評価1億9,200万
円で時価を特定します。
次に、個人から法人への売却は時価の2分の1以上なら低廉譲渡と見なされないので9,700万円を売却額とします。その際、買主の法人は時価との差額9,500万円が受贈益とされ、法人税率を32%とすれば3,040万円 ①が税額です。
又、売主の個人は不動産の取得時が古く取得額が不明額と推定し売却額97,000千円の95%が課税対象で、課税額は
8,170万円 × 20%(長期保有) = 1,843万円 ②です。
従って、法人と個人の課税額合計税(①+ ②)は4,8
80万円(端数処理)です。
尚、売主及び買主双方に係る課税額は法人支払いとし、売主(被相続人)の負担すべき課税額1,843万円は法人からの
借入金として処理します。
<第2段階の考察>

売主(被相続人)は9,700万円の代金受取債権を有しますが、この中から相続発生時までに消費すべき生活費(相続税支払の目的の保険金支払額等を含む) 5,000万円を控除し、残金4,700万円を買主法人に贈与します。
これにより
受贈益として法人は4,700万円 × 32%(法人税等) = 1,504万円 ③が課税対象となります。
<第3段階の考察>
1.買主と売主の課税額合計

買主(法人)に係る課税額合計は ① + ③ = 4,544万円 ①
売主(被相続人)に係る課税額合計は 1,843万円 ②
課税合計額 ① + ②=
6,387万円 ③

2.同族間売買による移転は節税効果が大きい
土地・個人所有のままで相続税を支払った場合、先に5,508万円が相続税課税額と査定されていますが、ここで
土地・建物を法人化した場合、上記③の6,387万円が課税額合計で相続税は基礎控除内で非課税。
支払税額の差額は
6,387万円(売買による課税額) = 5,508万(国税庁路線価による課税額)879万円となったが、法人に欠損金が879万円あれば相続税額と売買による課税額は同額となる。
3.帰結
個人所有不動産を法人化しなければ後生に渡り相続税が課税され続けますが、相続税法の運用に熟知した不動産鑑定士による時価の特定により経済合理性に基づく法人化が図られ、以後は代表者個人に課税される非上場株式の対策(事業承継税制の適用等)に注目すれば良いことになります。