親(個人)から子(法人)へ共同住宅の移転

 [box02 title=”建物移転に要する資金調達が最大の課題”]
1.<建物所有者でない管理会社>
共同住宅の相続税評価は一般住宅より評価が安く、我が家の場合は築10年でアパート建築費の銀行借入がまだ残っており、借入残額が控除でき相続税対策は既に行っている。  これで安心できるのでしょうか。複数の共同住宅からの家賃収入により利益が出ている場合の相続税は高負担となりがちです。相続税額は共同住宅建物が個人所有(親)か法人所有(子等の会社)かで大きく異なり、管理会社を設立していると云っても、建物所有権がない親族経営の管理会社の多くは地元の不動産業者に実質的管理を任せ、自らは給与所得者として勤務し、管理料の僅かな利鞘を抜くだけの名目だけのものです。又、銀行借入期間が経過すれば借入残額もなくなり債務控除も出来なくなります。更に、被相続人(親)が管理会社の株主になっている場合は無償返還届出書を提出していても(*建物利用権対象である被相続人土地は20%安く評価される)、土地価額の20%が会社の純資産額に加算されます。
2.<法人に移すための資金調達
(ア)個人所有の共同住宅建物は建物価値30%減額されますが、高収入の賃貸建物は蓄積される家賃収入が多額で、この程度の減額では相続税対策など図れません。下記一番下段の「対策なし」のグラフ(図2)をご覧ください。⇒  建物は時価2,460万円が1,720万円で評価されているので740万円分安くなっていますが、家賃収入で毎月15万円貯金できるならば20年目では3,060万円蓄積となっており、借入残額が差し引かれても、建物価額と家賃収益蓄積額が加算され、約1,720万円が課税標準額となるのです。結局740万円評価が安くなる反面、現金蓄積分3,060万円が相続税を増加させてしまいます。
(イ)そうかも知れないけど、アパートを息子(法人又は個人)に名義変更する場合、売買なら建物時価の2,460万円、贈与なら867万円(2,460×45%-265)の贈与税負担がかかる。そんな現金はないよ。相続が発生すれば子供たちがどこか一つ土地を売って払ってくれるだろう。⇒ 結局、「相続が3回発生すれば財産はなくなる」と云うのは本当みたいですね。⇒ 「*親の有する建物所有権を子(子の会社)に移転すれば、所有権移転に伴う課税が行われる我が国の構造的課税制度では、土地・建物は相続税の対象とならない法人所有に変えることが最良の相続税対策なのです。そのための問題は法人に移すための資金調達が最大の課題です。相続3回で財産は無くなるとされ、「俺が生きているうちは余計なことはするな!」では済まされません。
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[box02 title=”建物移転に多額の現金負担は不要です”]
1)<相続時精算課税制度の利点>
親子(子の会社)間の建物移転は売買による所有権移転を行います。その後、相続時精算課税制度に拠る贈与で売主の親は有する代金受取債権(資産)を子等に贈与します。相続時精算型の贈与の特徴は被相続人(親)が相続推定人(子等)に贈与を行った場合、相続発生時に贈与合計額を相続財産に加算し、贈与税でなく相続税で課税されることです。贈与額合計が1人当り2,500万円迄(親が3人に贈与すれば7,500万円迄)で相続人が多いほど贈与枠は大きくなります。
(2)<建物の外、土地を含めた所有権移転は可能か>
得られる家賃収入により是非の結果は異なります。売買により親は子等に対する支払債券を有することとなりますが、例えば子等に残金2,000万円の債務が残っていた場合でも、
① 子が相続人となれば2,000万円の支払は消滅し、同額が相続財産に加算され相続税として課税されます。
② 相続発生時までに親(被相続人)が有する債権額を多少でも旅行や生活費等で消費し、親の資産と負債とを相殺出来れば課税額は減少します。
③ 不動産鑑定士の建物評価で親の代金受取債権額の減額を試みるべきです。
(3)<当社が考える不動産に係る相続税対策>
親子間でも土地・建物の移転に際し相応の資金が求められ、この調達を金融機関からの借入で行うことを企画すれば多くの場合、実現は困難となります。外部からの借入で建物や土地の所有権移転を行うには資金調達がネックとなります。そこで、ここでは親子(子の会社)間の売買が契約自由の下で柔軟性があることに注目します。親から子(子の会社)への共同住宅の移転は、得られる家賃収入の範囲で返済額を決めれば良く、且つ契約内容に違法性がなければ、支払に係る契約条件につき弾力的な対策が図れます。整理すれば下記の通りです。
① 銀行等、他からの借入が不要であること。
② 契約の自由が有効に働くこと。
③ 売買により親が有する代金受取債権(相続財産)の減少を図れること。
④ 建物の売却時価を不動産鑑定士は積算価格 (取得価額ー減価償却額)でなく、収益価格を標準とし「貸屋及びその敷地」の内訳として評価「譲渡益ゼロの価額」が行えること。
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