<個人から法人に資産を移転し、被相続人が会社経営に関与することで老後の安定定収入を得ることが目的>
1.建物だけの移転と「無償返還届書」
建物だけを移転し賃料の振込先を法人に変更し、借地権設定のための一時金支払いを回避するため、土地は税務署に当事者間連名で無償返還届書を提出し、安めの地代設定と土地価値の減額20%を目論む(土地所有者が株主でないこと)。
但し、土地の相続税負担の回避は不可。
<事業承継税制の活用と資産管理会社からの脱却>
個人から法人へ所有権移転を移転することで不動産の相続税は回避できますが、代表者個人の有する非上場株式の相続税対策が問題となります。
事業承継税制の活用により非上場株式に係る贈与税・相続税が猶予・免除となりますが、不動産賃貸業の多くは事業と見なされず、資産管理会社とされ事業承継税制の適用がありません。
①形式要件;
総資産の内、特定資産「不動産、有価証券、現金等」の割合が70%以上又は、総収入の内、特定資産の運用益が75%以上ならば事業承継の税制の適用はない。
②実質要件;
不動産賃貸業でも社会保険加入者の利害関係のない社員が5名以上存する等の要件を満たせば「事業」とされます。
<不動産鑑定士ができること>
1.土地に係る評価の見直し
共同住宅等の土地評価は、土地・建物一体としての評価額を求め、その内訳としての土地価額を提示することができるため、売買での税額と相続税額との格差を少なく出来ます。
2.売買契約額である取得価額を簿価価額とできる。
個人から法人への不動産の移転は時価の2分の1以上の価額なら低廉譲渡とならないことで、簿価の引下げが可能となります。