1.既に定期借地権が設定されている場合の措置
ⅰ.<同族法人が底地を買い取る場合の対応
同族でない法人、例えば外食店舗等と定期借地権を既に締結している場合、建物の所有権は外食店舗法人にあるのでこれを同族法人に変更する必要がありますが、これが難しい場合は地主(個人)の有する底地を同族法人が買取ることとなります。その場合、個人が同族法人に底地価格の1/2以上で売却すれば低廉譲渡とは見なせませんが、取得額と売却額との差額が所得税の課税対象となります)。
これに対し同族法人は時価と購入額との差額が受贈益として法人税の課税対象となります(法人に損金が生じていればこれと相殺できます)。
但し、事業用定期借地権は契約期間が20年程度の場合、土地の復帰価格が高く試算されるため底地価格が高めに求められてしまいます。その場合、店舗建物を同族法人が買い取ることができれば対策がやり易くなります。
Ⅱ.<定期借地権者(法人)の建物を買い取る方法>
 ⇒
買い取るのは建物本体のみとします。定期借地権は契約期間が終了すれば更新がなく、建物は解体して更地で変換しなければならず、建物の買取請求はできません。
この様な法の性格を正しく理解してもらい、店舗建物を売却した後は定期借地権から定期借家権に変更すること。家賃は現行の地代と同額で良いこと。
定期借地権を定期借家権に変更し、契約期間も定期借地権と同じ期間とすることも説明します。定期借家権も契約の更新はできませんが再契約は可能です。
Ⅲ.<建物を同族法人が買い取った後の対応>
 ⇒ 
これにより土地は個人地主(被相続人)で建物は同族法人の所有物となります。ここで
同族法人と個人地主(被相続人)の間で定期借地権契約を締結します。
その後の経緯は既に1頁目で記載したとおりでその際、底地の買取りや交換及び契約期間内での解約が行えるための特約を検討することが重要です。
なお、被相続人の土地に収益建物が存し、その建物所有者が被相続人や同族会社でなく第三者であれば(土地利用契約当事者が第三者)、被相続人の土地を法人所有に変えるには建物の買取りや建物譲渡特約付定期借地権契約(30年経過後の法人化)以外は土地の法人化はできません。

2.借地契約の解約について
ⅰ.
<定期借地権者の申し出による契約解除>
定期借地権者の申し出による契約解除はこれを契約での特約事項とできます。契約期間内の解約には申し出人が借地権者であり且つ、合理的な解約理由が求められます。又、借地権者の事情により解約するのであれば、借地権者は立ち退き料等を請求する権利を有しません
.<建物譲渡特約付定期借地権契約>
定期借地権を消滅させる意思をもって当初契約で「建物譲渡特約付き定期借地権契約」とした場合、設定後30年以上経過すれば底地権者は借地権者から建物を買い取れ、合理的根拠がなくても借地契約を解約できます。借地契約の解約によって底地と定期借地権の混同が生じ、土地は更地(自用地)となり、同族法人は土地の完全所有権を得ます。

3.相続に係る節税対策は生前対策が総て
ⅰ.<土地の法人化への過程>
(a)定期借地権の設定 ⇒(b)定期借地権と底地の交換 ⇒(c)定期借地権契約の解約。
(a)定期借地権の設定 ⇒(b)底地の買取り ⇒ (C)定期借地権契約の解約。
(a)定期借地権の設定 ⇒ (b)定期借地権と底地の交換 ⇒(c)設定後30年経過後に建物の買取りによる定期借地権の消滅
上記3とおりが考えられます。
借地権は土地に付随する権利であり基本的に土地所有者(底地権者)や定期借地権者の変更により、定期借地契約が消滅することも契約期間が変更されることもありません。
Ⅱ.
交換では双方の価額格差が重視される>
契約書での支払地代額・契約期間・金利・採用する利回り等の数値により評価額が異なるため、採用すべき数値には合理性が求められます。又、
交換は土地価額には関係なく、双方の土地の価額格差が問題となるため、多額の土地を所有する場合は減税手法として優れます。これに対し
無償返還方式では更地価額での底地の売却を求められるため、定期借地権方式は相続税対策としての選択肢が多いことが分かります。

4.特例事業承継税制と資産管理会社
資産管理会社は特例税制の対象外>
特例事業承継税制の対象となる法人(中小企業)は非上場の自社株を所有する経営者が事業承継者に対し、非上場自社株の一括贈与を行うことで贈与税及び(相続発生による)相続税の支払いが免除される制度です。
これに対し、複数の共同住宅等の不動産を所有・管理している資産管理会社風俗営業等は原則として上記の
特例
の適用対象とはなりません。このことを考慮すれば
不動産資産が同族会社の資産に組み込まれる以前に被相続人が所有する非上場の自社株を後継者に移転させておく必要があります。
<事業用土地は法人で所有すること
仮に、土地の所有権を移転しなかった場合でも土地を法人で所有していれば被相続人の有する非上場株式を介して相続税が課税されることとなりその場合、相続発生時点に於ける土地の含み益(売却額-取得額)の63%(売却時の所得税等の課税額37%控除)が相続時の株価(純資産価額方式による評価額)と見なすのに対し、土地(現物)を被相続人が所有している場合は相続時の時価(路線価)で評価されるため株価評価の方が有利です。
自宅以外の収益不動産(特に土地)は法人で所有する方が課税面で有利ですが、事業用の土地については被相続人が同族会社の株を有しないことが最大の節税対策です。

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