節税と裏技

不動産鑑定士が相続税評価を行う根拠

国税評価の不備に係る納税者の救済

1.<財産評価基本通達の性格>
相続税評価の一義的評価基準は国税庁の財産評価基本通達です。市場において当該通達評価額が
適正な時価を超えない(不当な課税額と見なせない価額)範囲で評価されていれば志保はこの価額を容認します。そこで求められる価額は評価の専門家でない者が一括大量に処理できる査定手法で求める価額なので、公示価格の8割程度に設定され(相続税路線価)、市場時価との2割の余裕率で妥当性をカバ-するものとなっています。
2.<不動産鑑定士の評価で評価できる場合の例示>
通達評価に基づく査定額が不適切な価額(違法な価額)となる場合に司法は納税者の救済を認めます。
例えば造成費を要する宅地分譲素地において通達評価に基づく造成費が安すぎるため、あるいは造成費自体の計上を認めないため、通達評価では違法な課税額となることの立証・説明を行い、不動産鑑定士は「不動産鑑定評価基準に基づき」適正な市場時価を求めます。
3.<司法が不動産鑑定士の評価を容認する場合>
最高判例は時価につき、「正常な市場に於ける客観的な交換価値」と判示します。司法は最高判例は時価(正常な市場に於ける客観的な交換価値)を常に優先します。違法な時価とは即ち、行政(税務署)が最高裁判例時価の概念に反する時価での課税を行う場合です。
裁判所がどのような場合に不動産鑑定士の評価を認めるかを知ることは重要です。
単に税務署の評価基準で求めた財産価額が高いか安いかの問題でなく、課税額自体に違法性があるか否かが重要なのです。従って、不動産鑑定士は通達評価が違法に高い価額となる「乖離の存在」と「乖離理由の合理的説明」を鑑定評価書で記載する必要があります。

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